句の後ろは、句会での題詠となります。

妻の顔リアルに描いて二科へ出し    絵

セザンヌを描きゃ先生は日本一    特技

いい絵だがやっぱり値札見てしまう  値段

岡本太郎作と聞いてから褒め    不細工

原色で怒りん坊のママを描き     絵画

よその児の絵がうま過ぎる参観日    絵

号数で値札を割って絵を離れ    値打ち

見舞いから帰って画商値上げする  素早い

山水の下へ金庫を宿は置き      旅館

妻の時だけ曇ってた審美眼    うっかり 

太陽と海でクレヨン大分減り      海

下手な絵を褒めて急場の金を借り   下手

もっと見ていたい大観児が愚図り  見応え

複製画モデルルームの壁に掛け    手頃

絵で見ると地獄の方が面白い    眺める

モナリザのどこか意地悪そうな笑み  微笑

抽象画ですかと聞かれ筆を折り    描く高い絵のくせにバナナとリンゴだけ バナナ

山藤章二に描かれるまでに出世    出世

錦絵を値切る虫食い探し出し      絵

クレヨンの緑も春を待っていた    新緑

さて何を置こう鎧の売れた跡     大物

妻よりも壷に駆け寄る震度四     咄嗟

箱書きがあるとこの値じゃ買えません 贋物

裸婦像に止めた歩みを妻が突き   嫌がる

道具屋のハタキが叩く阿弥陀様   積もる

風鈴の絵は内側に筆を入れ      風鈴

鑑定を済ませてからの目が笑い    安物

背中ばっかり運慶の弟子は彫り    裏側

この壷が無疵だったらこの値です    壷

金次郎石屋の隅に売れ残り      陳列

さて何に変わる轆轤へ土を乗せ     塊

私には家宝妻には燃えるゴミ     家宝

胸像のモデルに社長二度通い    モデル

掛け軸の漢詩が読めて見直され    読む