句の後ろは、句会での題詠となります。

またあとで来ますと閉める靴の数  入り口   

ゴム長の底で水虫菌が待ち       底

包んでる様子に靴を履き直し     包む

履き心地試して靴屋出てしまい  すたすた

会う度に靴も女も新しい      ゆとり

這い這いにもう金色の靴が待ち    輝く

長靴を二度釣ってから場所を替え   釣る

水虫と知ってりゃ素足では借りず   感染

その前の傘にも及ぶ妻の愚痴      傘

風も出る予報で悪い方の傘    用意万端

傘返す先を妻には話せない      雨具

返さずにいいという傘肩へ洩り     雨

吹き降りに捨てずに置いた靴で出る  出る

強情がまだ江戸川で傘を張り     伝統

台風にビニール傘で立ち向かい   向かう

すぐ売れるバッグがいいわプレゼント 露骨

まだ誰も褒めてくれないロレックス  散在

カーテンの輪でも代わりに嵌めときな 戯言

先妻のダイヤでどの女騙そ       囮

その予算なら隅っこのダイヤです   陳列

サイズだけ聞いて指輪はまだ呉れず 前触れ

親切で持った鞄が重た過ぎ       鞄

ハンカチを渡しそれからどうしたの  拭く

ネクタイを放せあれとは一度だけ   摑む

内容は兎も角帽子Lサイズ      帽子

お帰りにどうぞと茶店杖を貸し   段取り

一本へネクタイ売場広過ぎる     陳列

行き先は言うネクタイの手を放せ  行き先

帽子まで取っての会釈借りが有り   脱ぐ

羽根付いた帽子妻にはどうかなあ   帽子

忘れ物するなよ妻がじき帰る     物騒

ハンカチに染み付けてさえ妻の愚痴  染み

窓口のペンもメガネも紐が付き  がっちり

もう世話にならぬと決めて杖を買い 強がり

見晴らしはよいが揃えた靴も見え   物騒