句の後ろは、句会での題詠となります。

釣銭があっただろうと言うと出し   返す

私にはこのぐらいしか赤い羽根   精一杯

忘れてはいません貸した五百円  がっちり

残高がこれで保険とガス電気    スリル

金のある頃には粋な人だった   一炊の夢

佃煮を利息に母の金を借り      利息

どうみても俺の保険は妻が取る   心残り

慰謝料を払わずに済み瘤を撫で   一段落

困ったらどうぞの利息高過ぎる    困る

武富士と同じ利息を妻が取り   がっちり

結局は貸さないのなら早く言え  あいまい

妻の眼が貸しちゃ駄目だと言っている  眼

あの人を招待すれば只来ない     確実

皺だらけ苦労してきた札らしい     皺

保証印貰うとじきにさようなら  てきぱき

むしり取っても名目は協力費   表向き

干す時に出てきた札を窓へ貼り    紙幣

五千円ポッキリじゃ君済まないよ    枠

こんなに払っても女まだ恨み   バランス

初荷にもやがて請求書が届き     初荷

手切れ金どうやらヒモがいるらしい  潜在

その時は返す気でいた母の金   うやむや

貸す金を二度数えてる手暗がり    隠す

債権者会議が分けるこれっぽち    回収

この暮も妻がなんとかしてくれる   節目

今月でローンが終わりどっと老け 一足飛び

夫にも一度出したい請求書     請求書

時給ならいくらと妻に凄まれる    働く

月給を運ぶ夫と呼ぶ男        運ぶ

お年玉順に伯父叔母ランクされ    忠実

棚ぐらい吊れて時給の要らぬ妻    重宝

慰謝料を次の女に少し借り    遣り繰り

熨斗袋鶴を舞わせてこれっぽち    祝儀

保険金俺の時価総額らしい      目安

我慢せい先祖代々貧乏だ        祖