句の後ろは、句会での題詠となります。

五六枚めくると枯れ木花が咲き    絵本

百円の棚に身を置く偉人伝      古本

絵本では正直者が得をする      理想

自分史に書いた女で妻と揉め  馬鹿だねえ

稿料が安いとやたら行を変え     捻出

そんな本読んでて電気消しますよ  本一切

本棚を背に先生が取材され      先生

熱帯夜妻の嫌いな本で更け  夜のひととき

友達の友達に本無くされる      友達

表紙では浦島太郎まだ若い      表紙

通り過ぎてった男を書いて売り    随想

あの顔でアンネの日記読んで泣き  泣き虫

図書券でよくそんな本買えたわね   買う

ダイジェスト版で源氏は読みました  手頃

お小言に聖書と論語入り混じり  継ぎはぎ

相続の本を付き添いながら読み   本一切

朝礼のネタはこの本だと見付け   見破る

続編も出るこうすればお金持ち   型破り

立ち読みの理論武装で妻に勝ち    快挙

少年のもう見限った偉人伝      少年

私を悪女に書いて直木賞      モデル

金持ちのエッセイも載せ同人誌  てこ入れ

黄表紙の濡れ場のあたり紙魚が喰い  和紙

自分史に女の数は書けません  言わぬが花

卒業文集と離れてく私        理想

そこまで書きますか昔なら伏字    大胆

エッセイの達人読者層を聞き   用意万端

直木賞取る気で店は妻任せ    打ち込む

朝刊でむくむく俺の正義感     起きる

日経の受け売りだとは知って聞き   装う

私小説親戚中を悪く書き   プライバシー

履歴書に趣味は読書と書いておく   無難

入門書誰でも出来るように書き    容易

網棚に返して降りる週刊誌     週刊誌

黄表紙を読んでもかかあ威張ってる   妻